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そんな私の辛さを余所に、赤ちゃんは、ミルクをしっかり飲み、発育も良好でした。
とうとう、不安な手術日がやって来ました。赤ちゃんの、頭よりも大きくなった子宮を、そして、卵巣迄も全て摘出すると言う、大手術になってしまったのです。三日間は寝たっきりで、身動きさえ出来ませんでした。
家事は勿論、自分の事さえ出来ない夫と、息子二人の男所帯が留守を守り、育児をしているのかと思うと、文章には表せないほど、辛い気持ちでした。一日、一日が、とっても長く感じましたが、手術後、やっと五日目にして、赤ちゃんに会う事が出来ました。その時は、お腹の痛みも忘れ、愛おしくて、愛おしくて。抱き締めている内に、自分の体の中に、入れてしまいたい位いでした。
赤ちゃんの新しい命と、母親になりきってしまっている命が、ひとつになった様にも、思いました。
その後、私の経過も次第に良くなり、20日程で退院しました。病気で、すっかり落ち込んでいた私でしたが、此の赤ちゃんが、私に命と勇気を与えてくれた思いがします。

 

 

 

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